「技術・人文知識・国際業務」ビザの許可要件と必要書類

「技術・人文知識・国際業務」ビザとは

在留資格「技術・人文知識・国際業務」は、
「本邦の公私の機関との契約に基づいて行う理学、工学、その他の自然科学の分野若しくは法律学、経済学、社会学その他の人文科学の分野に属する技術若しくは知識を要する業務又は外国の文化に基盤を有する思考若しくは感受性を必要とする業務に従事する活動」
に従事するための在留資格です。

「技術・人文知識・国際業務」ビザ申請の概要

在留期間5年、3年、1年または3か月
手数料認定証明書無料
変更4000円
更新4000円
標準処理期間認定証明書1か月~3か月
変更2週間~1か月
更新2週間~1か月

※実際の在留審査処理日数については、下記のコラム記事をご覧ください。

「技術・人文知識・国際業務」ビザ許可の要件

外国人を新たに呼び寄せる場合の許可要件は、下記の2つです。

(1)在留資格該当性

(2)上陸許可基準適合性 

在留資格の変更・更新の場合は、これらに加えて

(3)変更・更新を適当と認めるに足りる相当の理由(相当性)があること

が必要になります。

  

在留資格該当性とは

本邦の公私の機関との契約に基づいて行う下記のいずれかの業務であること。

「技術」

 自然科学の分野(理系)の技術もしくは知識を要する業務
 (例:機械・電気・建設系エンジニア、IT技術者など)

「人文知識」

 人文科学の分野(文系)の知識を要する業務
 (例:営業、総務、商品開発、経理、総合職、コンサルなど)

「国際業務」 

 外国の文化に基盤を有する思想又は感受性を必要とする業務
 (例:翻訳、通訳、語学の指導、広報、宣伝、海外取引業務、
    服飾若しくは室内装飾に係るデザイン、商品開発)

解説

  • 「本邦の公私の機関」には、会社、国、地方公共団体、各種法人、個人で本邦に事務所を有する場合が含まれます。
  • 「契約」には、雇用契約のほか、委任、委託、嘱託等が含まれますが、特定の機関との継続的なものである必要があります。
  • 「企業内転勤」と「技術・人文知識・国際業務」の違いについては、こちらのページをご覧ください。

上陸許可基準適合性とは

基準省令第1~3号のいずれにも該当していること。
 ※「技術」と「人文知識」は、基準省令第1号と第3号
  「国際業務」は、基準省令第2号と第3号 に適合する必要があります。

基準省令第1号(「技術」「人文知識」)

次のいずれかに該当すること。(学歴・実務要件)

ただし、情報処理に関する技術又は知識を要する業務に従事しようとする場合で、IT告示で定める資格をしているときは1号に適合することを要さない。

  • (イ)当該技術若しくは知識に関する科目を専攻して大学を卒業し、又はこれと同等以上の教育を受けたこと。
  • (ロ)当該技術若しくは知識に関する科目を専攻して本邦の専修学校の専門課程を修了したこと。
  • (ハ)10年以上の実務経験を有すること。

基準省令第2号(「国際業務」)

「国際業務」に従事しようとする場合は、次のいずれにも該当していること。

  • (イ)「翻訳」「通訳」「語学の指導」「広報」「宣伝」「海外取引業務」「服飾若しくは室内装飾に係るデザイン」「商品開発」「その他これらに類似する業務」に従事すること。
  • (ロ)従事しようとする業務に関連する業務について3年以上の実務経験を有すること。ただし、大学を卒業した者(専攻を問わない)が翻訳、通訳、語学指導に係る業務に従事する場合は、この限りではない。

基準省令第3号(「技術」「人文知識」「国際業務」)

日本人が従事する場合に受ける報酬と同等以上の報酬を受けること。

解説

  • 「大学」には、短大、高専、専門職大学、専門職短期大学を含みます。
     (学士/修士/博士/短期大学士)
  • 学歴については、海外の短期大学卒以上の学歴で日本の短期大学士相当以上の学位(「学士」以上の学位)を取得していること又は日本の専門学校卒以上の学歴で「専門士」以上の学位を取得していることを学位証明書等で確認する必要があります。
  • 各国の学校体系および取得可能な学位については下記ページをご覧ください。
      世界の学校体系(ウェブサイト版)/文部科学省
  • 「本邦の専修学校」は、専門士若しくは高度専門士の称号が付与されたものであること。日本語学校や、外国の専門学校はこれに適合しません。
  • 従事しようとする業務と専攻科目との関連性が必要です。
    大学など卒業の場合、関連性は比較的緩やかに判断されますが、専修学校卒業の場合は厳密に審査されます。
  • 「国際業務」は、学歴要件はありませんが関連業務について3年以上の実務経験が必要です。
  • 一定以上の専門的能力を必要とする活動であることが必要です(=ホワイトカラー業務)。実務研修は、活動を全体と捉えて判断されます。
  • (基準省令第2号)のロのただし書きの規定は、外国人の母国語である必要があります。
  • 「同等額以上の報酬」とは、同等の経験に基づく日本人と同じ給与規定、賃金テーブルに則ったものである必要があります。「報酬」とは、労務対価を言い、賞与、手当、退職金を含みます。ただし通勤手当、扶養手当、住宅手当など実費弁済の性格を有するものは含みません。(課税対象となるものを除く)

  

外国人留学生の就職促進に向けた運用等の見直しについて(令和6年2月29日)

未来を創造する若者の留学促進イニシアティブ(第二次提言)」(令和5年4月27日教育未来創造会議)等を踏まえ、専修学校卒業者の専攻と就職先の従事業務との関連性について下記のように改定されました。

  • 従来
     専修学校卒業者の専攻と就職先の従事業務との関連性については、相当程度の関連性を必要とする。
  • 改定後
     専修学校卒業者の専攻と就職先の従事業務との関連性については、一定の要件を満たした専修学校専門課程の学科(※)を修了した者については、在留資格「技術・人文知識・国際業務」への変更時における専攻科目と従事しようとする業務の関連性について柔軟に対応し、大学等卒業者と同等の取扱いとする。

    ※新たな認定制度(専修学校の専門課程における外国人留学生キャリア形成促進プログラムの認定に関する規定(令和5年6月21日公布)

  

変更・更新を適当と認めるに足りる相当の理由とは

「在留資格変更許可申請」または「在留期間更新許可申請」の場合は、法務大臣は外国人が提出した文書により、在留資格の変更・更新を適当と認めるに足りる「相当の理由」があるときに限り許可することができ、判断にあたっては下記の事項等を総合的に考慮して判断されます。

  • (ア)現に有する在留資格に応じた活動を行っていたこと。
  • (イ)素行が不良でないこと。(法令に違反して懲役や罰金刑に処せられていないこと等)
  • (ウ)独立の生計を営むに足りる資産又は技能を有すること。
  • (エ)雇用・労働条件が適正であること。
  • (オ)納税義務を履行していること。(所得税、住民税、健康保険、年金)
  • (カ)入管法に定める届出等の義務を履行していること。

解説

  • (エ)については、勤務先の事業の適法性、安定性、継続性、業務内容、専門性、関連性、必要性、業務量、採用経緯、今後の計画または見通し、各信憑性が総合的に審査されます。
    また、申請書の勤務先、職務上の地位、職務内容欄と立証資料から活動の継続性が確認されます。
  • 申請人の収入が、住民税の課税証明書、納税証明書等より契約時の金額であり、かつ日本人と同等以上であることが確認されます。
  • 在留資格「留学」からの変更の場合は、留学期間中の成績や欠席率、資格外活動許可条件(28時間制限)に違反していないかチェックされます。オーバーワークをしていた場合は不許可になることがあります。また、留学生が大学を卒業した後、就職までの間で留学としての活動を終えている場合は、アルバイトはできないので注意が必要です。

「技術・人文知識・国際業務」ビザ申請の必要書類

提出書類は会社の規模(カテゴリー)により異なります。

カテゴリー1
・日本の証券取引所に上場している企業

カテゴリー2
・前年分の「給与所得の源泉徴収等の法定調書合計票」中の源泉徴収税額が1000万円以上の企業(目安として、おおよそ従業員が200人以上の場合に該当します)
・在留申請オンラインシステムの利用申出の承認を受けている機関

カテゴリー3
・前年分の「給与所得の源泉徴収等の法定調書合計票」中の源泉徴収税額が1000万円未満の企業

カテゴリー4
・カテゴリー1,2,3のいずれにも該当しない団体・個人。(主に創業から1年以内の企業が該当します。)

  

新規呼び寄せの場合(在留資格申請証明書交付申請)

カテゴリー1(上場企業)

<共通資料>

  • 在留資格認定証明書交付申請書
  • 証明写真(縦4cm×横3cm)
  • 返信用封筒(宛先を明記の上、404円の切手を貼付したもの)

<会社が用意する資料>

  • 四季報の写し又は日本の証券取引所に上場していることを証明する文書(写し)

<本人に関する資料>

  • 専門学校を卒業し、専門士又は高度専門士の称号を付与された者については、専門士又は高度専門士の称号を付与されたことを証明する文書(卒業証明書など)

  

カテゴリー2(源泉徴収税額が1000万円以上の企業)

<共通資料>

  • 在留資格認定証明書交付申請書
  • 証明写真(縦4cm×横3cm)
  • 返信用封筒(宛先を明記の上、404円の切手を貼付したもの)

<会社が用意する資料>

  • 前年分の職員の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表(受付印のあるものの写し)

<本人に関する資料>

  • 専門学校を卒業し、専門士又は高度専門士の称号を付与された者については、専門士又は高度専門士の称号を付与されたことを証明する文書(卒業証明書など)

  

カテゴリー3(源泉徴収税額が1000万円未満の企業)

<共通資料>

  • 在留資格認定証明書交付申請書
  • 証明写真(縦4cm×横3cm)
  • 返信用封筒(宛先を明記の上、404円の切手を貼付したもの)

<会社が用意する資料>

  • 前年分の職員の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表(受付印のあるものの写し)
  • 登記事項証明書
  • 定款のコピー
  • 会社案内 役員、沿革、業務内容、主要取引先、取引実績が記載されたもの)
  • 直近の年度の決算文書の写し
  • 雇用契約書または労働条件通知書
  • 雇用理由書

<本人に関する資料>

  • 大学または専門学校の卒業証明書
  • 大学、専門学校の成績証明書(学校の履修内容と仕事内容との関連性の証憑)
  • パスポートのコピー ※表紙からスタンプが押されている最後のページまで
  • 本人の履歴書(学歴・職歴)
  • 日本語能力を証明する書類

※ 本国資料はすべて日本語翻訳が必要です

  

カテゴリー4(新設会社)

<共通資料>

  • 在留資格認定証明書交付申請書
  • 証明写真(縦4cm×横3cm)
  • 返信用封筒(宛先を明記の上、404円の切手を貼付したもの)

<会社が用意する資料>

  • 事業計画書
  • 給与支払事務所等の開設届書のコピー(受付印あるもの)
  • 直近3カ月分の給与所得・退職所得等の所得税徴収高計算書(領収日付印のあるもの)のコピーまたは、源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書(受付印あるもの)のコピー
  • オフィスまたは店舗の建物賃貸借契約書のコピー(所有している場合は登記事項証明書)
  • 会社の写真
  • 登記事項証明書
  • 定款のコピー
  • 会社案内 役員、沿革、業務内容、主要取引先、取引実績が記載されたもの)
  • 直近の年度の決算文書の写し
  • 雇用契約書または労働条件通知書
  • 雇用理由書

<本人に関する資料>

  • 大学または専門学校の卒業証明書
  • 大学、専門学校の成績証明書(学校の履修内容と仕事内容との関連性の証憑)
  • パスポートのコピー ※表紙からスタンプが押されている最後のページまで
  • 本人の履歴書(学歴・職歴)
  • 日本語能力を証明する書類

  ※ 本国資料はすべて日本語翻訳が必要です。

  

変更の場合(在留資格変更許可申請)

カテゴリー1(上場企業)

<共通資料>

  • 在留資格変更許可申請書
  • 証明写真(縦4cm×横3cm)
  • パスポート
  • 在留カード
  • 返信用はがき(宛先を明記)

<会社が用意する資料>

  • 四季報の写し又は日本の証券取引所に上場していることを証明する文書(写し)

<本人に関する資料>

  • 専門学校を卒業し、専門士又は高度専門士の称号を付与された者については、専門士又は高度専門士の称号を付与されたことを証明する文書(卒業証明書など)

  

カテゴリー2(源泉徴収税額が1000万円以上の企業)

<共通資料>

  • 在留資格変更許可申請書
  • 証明写真(縦4cm×横3cm)
  • パスポート
  • 在留カード
  • 返信用はがき(宛先を明記)

<会社が用意する資料>

  • 前年分の職員の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表(受付印のあるものの写し)

<本人に関する資料>

  • 専門学校を卒業し、専門士又は高度専門士の称号を付与された者については、専門士又は高度専門士の称号を付与されたことを証明する文書(卒業証明書など)

  

カテゴリー3(源泉徴収税額が1000万円未満の企業)

<共通資料>

  • 在留資格変更許可申請書
  • 証明写真(縦4cm×横3cm)
  • パスポート
  • 在留カード
  • 返信用はがき(宛先を明記)

<会社が用意する資料>

  • 前年分の職員の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表(受付印のあるものの写し)
  • 登記事項証明書
  • 定款のコピー
  • 会社案内 役員、沿革、業務内容、主要取引先、取引実績が記載されたもの)
  • 直近の年度の決算文書の写し
  • 雇用契約書または労働条件通知書
  • 雇用理由書

<本人に関する資料>

  • 大学または専門学校の卒業証明書
  • 大学、専門学校の成績証明書(学校の履修内容と仕事内容との関連性の証憑)
  • パスポートのコピー ※表紙からスタンプが押されている最後のページまで
  • 本人の履歴書(学歴・職歴)
  • 日本語能力を証明する書類

※ 本国資料はすべて日本語翻訳が必要です

  

カテゴリー4(新設会社)

<共通資料>

  • 在留資格変更許可申請書
  • 証明写真(縦4cm×横3cm)
  • パスポート
  • 在留カード
  • 返信用はがき(宛先を明記)

<会社が用意する資料>

  • 事業計画書
  • 給与支払事務所等の開設届書のコピー(受付印あるもの)
  • 直近3カ月分の給与所得・退職所得等の所得税徴収高計算書(領収日付印のあるもの)のコピーまたは、源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書(受付印あるもの)のコピー
  • オフィスまたは店舗の建物賃貸借契約書のコピー(所有している場合は登記事項証明書)
  • 会社の写真
  • 登記事項証明書
  • 定款のコピー
  • 会社案内 役員、沿革、業務内容、主要取引先、取引実績が記載されたもの)
  • 直近の年度の決算文書の写し
  • 雇用契約書または労働条件通知書
  • 雇用理由書

<本人に関する資料>

  • 大学または専門学校の卒業証明書
  • 大学、専門学校の成績証明書(学校の履修内容と仕事内容との関連性の証憑)
  • パスポートのコピー ※表紙からスタンプが押されている最後のページまで
  • 本人の履歴書(学歴・職歴)
  • 日本語能力を証明する書類

  ※ 本国資料はすべて日本語翻訳が必要です。

  

更新の場合(在留期間更新許可申請)

カテゴリー1(上場企業)

<共通資料>

  • 在留期間更新許可申請書
  • 証明写真(縦4cm×横3cm)
  • パスポート
  • 在留カード
  • 返信用はがき(宛先を明記)

<会社が用意する資料>

  • 四季報の写し又は日本の証券取引所に上場していることを証明する文書(写し)

  

カテゴリー2(源泉徴収税額が1000万円以上の企業)

<共通資料>

  • 在留期間更新許可申請書
  • 証明写真(縦4cm×横3cm)
  • パスポート
  • 在留カード
  • 返信用はがき(宛先を明記)

<会社が用意する資料>

  • 前年分の職員の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表(受付印のあるものの写し)

  

カテゴリー3(源泉徴収税額が1000万円未満の企業)

<共通資料>

  • 在留期間更新許可申請書
  • 証明写真(縦4cm×横3cm)
  • パスポート
  • 在留カード
  • 返信用はがき(宛先を明記)

<会社が用意する資料>

  • 前年分の職員の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表(受付印のあるものの写し)

(転籍後の初回の更新許可申請の場合は以下の資料)

  • 登記事項証明書
  • 定款のコピー
  • 会社案内 役員、沿革、業務内容、主要取引先、取引実績が記載されたもの)
  • 直近の年度の決算文書の写し
  • 雇用契約書または労働条件通知書
  • 雇用理由書

 <本人に関する資料>

  • 住民税の課税証明書及び納税証明書(1年間)

  

カテゴリー4(新設会社)

<共通資料>

  • 在留期間更新許可申請書
  • 証明写真(縦4cm×横3cm)
  • パスポート
  • 在留カード
  • 返信用はがき(宛先を明記)

<会社が用意する資料>
(転籍後の初回の更新許可申請の場合は以下の資料)

  • 事業計画書
  • 給与支払事務所等の開設届書のコピー(受付印あるもの)
  • 直近3カ月分の給与所得・退職所得等の所得税徴収高計算書(領収日付印のあるもの)のコピーまたは、源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書(受付印あるもの)のコピー
  • オフィスまたは店舗の建物賃貸借契約書のコピー(所有している場合は登記事項証明書)
  • 会社の写真
  • 登記事項証明書
  • 定款のコピー
  • 会社案内 役員、沿革、業務内容、主要取引先、取引実績が記載されたもの)
  • 直近の年度の決算文書の写し
  • 雇用契約書または労働条件通知書
  • 雇用理由書

<本人に関する資料>

  • 住民税の課税証明書及び納税証明書(1年間)

  

転職した場合

更新申請でも転職した場合は、必要資料は変更申請に準じます。

  

最新の情報については、入管のホームページをご確認ください。

なお、これらは最低限必要な資料となります。個々の事案に応じて理由書や追加資料を提出することが必要です。

  

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<この記事の執筆者>

 きたむら行政書士事務所
 行政書士 北村 重男

 出入国在留管理局申請取次資格者

  

  

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