「企業内転勤」ビザの許可要件と必要書類

就労ビザの1つに、在留資格「企業内転勤」があります。
この記事では「企業内転勤」ビザの条件とあわせて、よく比較される「技術・人文知識・国際業務(通称:技人国)」ビザとの違いについて解説します。

「企業内転勤」ビザとは

「企業内転勤」ビザとは、「本邦に本店、支店その他の事業所のある公私の機関の外国にある事業所の職員が本邦にある事業所に期間を定めて転勤して当該事業所の行う「技術・人文知識・国際業務」の在留資格に対応する活動」に従事するための在留資格です。

具体的には、同一企業内の外国の事業所から本邦の事業所への転勤者がホワイトカラー業務を行う場合に該当します。

  

「企業内転勤」ビザの概要

在留期間 5年、3年、1年または3か月
手数料 認定証明書 無料
変更 4000円
更新 4000円
標準処理期間 認定証明書 1か月~3か月
変更 2週間~1か月
更新 2週間~1か月

「企業内転勤」ビザの許可要件

外国人を新たに呼び寄せる場合の許可要件は、下記の2つです。

(1)在留資格該当性

(2)上陸許可基準適合性

在留資格の変更・更新の場合は、これらに加えて

(3)変更・更新を適当と認めるに足りる相当の理由(相当性)があること

が必要になります。

  

在留資格該当性

本邦に本店、支店その他の事業所のある公私の機関の外国にある事業所の職員が、本邦にある事業所に期間を定めて転勤して当該事業所において行う「技術・人文知識・国際業務」の在留資格に該当する活動。

「技術・人文知識・国際業務」の在留資格に該当する活動とは、下記のいずれかです。

「技術」

 自然科学の分野(理系)の技術もしくは知識を要する業務
 (例:機械設計、IT技術者など)

「人文知識」

 人文科学の分野(文系)の知識を要する業務
 (例:経理、金融、総合職、コンサルタントなど)

「国際業務」

 外国の文化に基盤を有する思想又は感受性を必要とする業務
 (例:翻訳、通訳、語学の指導、広報、宣伝、海外取引業務、
    服飾若しくは室内装飾に係るデザイン、商品開発)

解説

  • 転勤は同一法人内における配置転換による異動のほか、系列企業内(「親会社」「子会社」「関連会社」)への出向も含まれます。
  • 「事業所」には、外国会社の日本の子会社(法人)のほか、営業所や駐在員事務所も含まれます。
  • 「企業内転勤」では、「本邦の公私の機関との契約」が要件となっていないので、異動元との労働契約に基づいて活動することができます。
  • 在留資格「技術・人文知識・国際業務」で日本の子会社(法人)に異動する場合は、「本邦の公私の機関との契約」が要件となっているため、日本の子会社(法人)との労働契約が必要になります。一方、法人格のない日本支店や駐在員事務所に異動する場合は、外国親会社との労働契約をもって、本邦機関との契約とみなすため、新たに労働契約を結ぶ必要はありません。

  • 外国会社の従業員が日本で働く場合の在留資格該当性(まとめ)
  「企業内転勤」 「技術・人文知識・国際業務」
日本の子会社
(法人)
×
(子会社と労働契約が必要)
日本支店
(外国親会社との労働契約をもって、本邦機関との契約とみなします)
駐在員事務所
(外国親会社との労働契約をもって、本邦機関との契約とみなします)

  • 報酬の支払い主体が、移動元(外国にある事業所)か移動先(本邦にある事業所)かについては特段厳密に審査されていません。
  • 「期間を定めて転勤して」とは、本邦の事務所での勤務が一定期間に限られていることを要しますが、転勤期間の延長による在留期間更新申請は可能です。

上陸許可基準適合性

申請人が次のいずれにも該当していること。

  • 第1号 申請に係る転勤の直前に外国にある本店、支店その他の事業所において「技人国」に該当する業務に従事している期間が継続して1年以上あること。
  • 第2号 日本人が従事する場合に受ける報酬と同等額以上の報酬を受けること。

解説

  • 「企業内転勤」は「技術・人文知識・国際業務」と異なり、学歴要件はありません。
  • 転勤直前の業務は「技人国」に該当する業務であれば足り、転勤後に従事する業務と同一又は関連する業務であることまでは必要ではありません。

変更・更新を適当と認めるに足りる相当の理由があること

法務大臣は、外国人が提出した文書により、在留資格の変更・更新を適当と認めるに足りる「相当の理由」があるときに限り許可することができ、判断にあたっては下記の事項等を総合的に考慮して判断します。

  • (ア)現に有する在留資格に応じた活動を行っていたこと。
  • (イ)素行が不良でないこと。
       (法令に違反して懲役や罰金刑に処せられていないこと等)
  • (ウ)独立の生計を営むに足りる資産又は技能を有すること。
  • (エ)雇用・労働条件が適正であること。
  • (オ)納税義務を履行していること。(所得税、住民税、健康保険、年金)
  • (カ)入管法に定める届出等の義務を履行していること。

解説

  • (エ)については、勤務先の事業の適法性、安定性、継続性、業務内容、専門性、関連性、必要性、業務量、採用経緯、今後の計画または見通し、各信憑性が総合的に審査されます。
    また、申請書の勤務先、職務上の地位、職務内容欄と立証資料から活動の継続性が確認されます。
  • 申請人の収入が、住民税の課税証明書、納税証明書等より契約時の金額であり、かつ日本人と同等以上であることが確認されます。

「企業内転勤」ビザの申請に必要な書類

下記の入管のホームページに申請に必要な提出書類が記載されています。

https://www.moj.go.jp/isa/applications/status/intracompanytransfee.html

ただし、これらは最低限必要な資料となります。個々の事案に応じて理由書や追加資料を提出することが必要です。


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<この記事の執筆者>

 きたむら行政書士事務所
 行政書士 北村 重男

 出入国在留管理局申請取次資格者

  

  

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