在留資格「高度専門職」は、就労活動を行う者のうち高度の専門的な能力を有する人材として、省令で定められた一定の基準(「高度人材ポイント」の合計数)を満たす者に許可される在留資格です。我が国の学術研究又は経済の発展に寄与することが見込まれるものが該当します。
在留資格「高度専門職」には4種類の区分があります。また、出入国管理上の優遇措置を与えることにより、我が国への受け入れ促進が図られています。
「高度専門職」ビザの種類
- 「高度専門職1号イ」(高度学術研究活動)
- 「高度専門職1号ロ」(高度専門・技術活動)
- 「高度専門職1号ハ」(高度経営・管理活動)
- 「高度専門職2号」
「高度専門職」ビザの概要
在留期間 | 高度専門職1号 | 5年 |
高度専門職2号 | 無期限 | |
手数料 | 認定証明書(1号のみ) | 無料 |
変更 | 4000円 | |
更新 | 4000円 |
種類 | 主な要件 | 在留期間 | 活動内容 | 永住権許可要件の 緩和 |
高度専門職1号イ (高度学術研究活動) |
高度人材ポイントが 70ポイント以上 |
5年 | 主活動と併せて関連事業の経営活動等が可能 | 70ポイント以上 →3年以上居住 80ポイント以上 →1年以上居住 |
高度専門職1号ロ (高度専門・技術活動) |
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高度専門職1号ハ (高度経営・管理活動) |
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高度専門職2号 | 高度専門職1号が 3年以上 |
無期限 | 主活動と併せてほぼ全ての就労活動が可能(単純労働除く) |
「高度専門職」ビザの許可要件
共通
行おうとする活動が下記のいずれかの在留資格に該当し、かつ、基準がある場合は基準にも適合すること。
「教授」「芸術」「宗教」「報道」「経営・管理」「法律・会計業務」「医療」「研究」「教育」「技術・人文知識・国際業務」「企業内転勤」「介護」「興業」「技能」
高度人材ポイントの計算方法については、下記の入管ホームページをご覧ください。
https://www.moj.go.jp/isa/publications/materials/newimmiact_3_system_index.html
「高度専門職1号イ」(高度学術研究活動)の許可要件
該当範囲
特定の本邦の公私の機関との契約に基づいて行う研究、研究の指導又は教育をする活動。又は当該活動と併せて当該活動と関連する事業を自ら経営し若しくは当該機関以外の本邦の公私の機関との契約に基づいて行う研究、研究の指導又は教育をする活動。
許可基準
- 申請時において「高度人材ポイント」が70点以上あること。
- 活動内容が日本の産業及び国民生活に悪影響を与えないこと。
解説
- 主に在留資格「教授」「研究」等の活動に該当します。
「高度専門職1号ロ」(高度専門・技術活動)の許可要件
該当範囲
特定の本邦の公私の機関との契約に基づいて行う自然科学又は人文科学の分野に属する知識又は技術を要する業務に従事する活動。又は当該活動と併せて当該活動と関連する事業を自ら経営する活動。
許可基準
- 申請時において高度人材ポイントが70点以上、かつ、報酬年額合計300万円以上あること。
- 活動内容が日本の産業及び国民生活に悪影響を与えないこと。
解説
- 主に在留資格「企業内転勤」「技術・人文知識・国際業務」の活動に該当しますが、「国際業務」のカテゴリーは含まれません。
- 「高度専門職1号イ」と異なり年収要件があります。
「高度専門職1号ハ」(高度経営・管理活動)の許可要件
該当範囲
特定の本邦の公私の機関において事業の経営を行い又は管理に従事する活動。又は当該活動と併せて当該活動と関連する事業を自ら経営する活動。
許可基準
- 申請時において高度人材ポイントが70点以上、かつ、報酬年額合計300万円以上あること。
- 活動内容が日本の産業及び国民生活に悪影響を与えないこと。
解説
- 主に在留資格「経営・管理」の活動に該当します。
- 「高度専門職1号イ」と異なり年収要件があります。
「高度専門職2号」の許可要件
該当範囲
高度学術研究活動、高度専門・技術活動、高度経営・管理活動。又は当該活動と併せて行う、「教授」「芸術」「宗教」「報道」「法律・会計業務」「医療」「研究」「教育」「技術・人文知識・国際業務」「介護」「興業」「技能」又は「特定技能2号」の在留資格に対応する活動
許可基準
- 「高度専門職1号」の在留資格をもって3年以上在留している者。
- 素行が善良であること。
- 日本の国益に合すると認められること。
- 活動内容が日本の産業及び国民生活に悪影響を与えないこと。
解説
- 「高度専門職2号」は在留資格認定証明書交付申請の対象とはなりません。
- 出国期間が長い場合は適合しないとして不許可の可能性があります。
- 単純労働は認められません。
- 在留期間は無期限ですが、在留カードは7年毎に更新が必要です。
その他
- 「高度専門職1号イロハ」は、主活動を行う限りにおいて、資格外活動許可申請や届出をすることなく、関連事業を自ら経営する活動も行うことが認められます。ただし主活動を行うこと、および主活動に関連する事業であることが必要です。
- 「高度専門職1号イロハ」は、転職等により所属機関が変わる場合は、在留資格変更許可を受ける必要があります。「高度専門職2号」は所属機関が指定されていないため変更許可は不要です。ただし所属機関等に関する変更届はいずれも必要となります。
「高度専門職」の優遇措置
「高度専門職1号」の優遇措置
複合的な在留活動
例)主活動「人文知識」で就労活動しつつ、自ら関連事業の経営を行うなど。
在留期限5年
永住許可要件の緩和
通常10年以上の居住及び5年以上の就労が必要ですが、下記に緩和されます。
- 3年以上の居住及び申請時と3年前の高度人材ポイントが70ポイント以上
- 1年以上の居住及び申請時と1年前の高度人材ポイントが80ポイント以上
※このポイント制度は、「高度専門職」以外の在留資格でも適用されます。
配偶者の就労(特定活動33号告示)
例えば技人国における学歴要件を満たさなくても、就労が可能になります。
一定要件下での親の帯同(特定活動34号告示)
7歳未満の子を養育、夫婦年収800万円以上など一定の要件を満たすことで可能になります。
家事使用人の帯同
入国・在留審査の優先処理
「高度専門職2号」の優遇措置
- ①「高度専門職1号」の活動と併せてほぼ全ての就労資格の活動ができる
- ②在留期限が無期限(在留カードは7年毎に更新必要)
- ③~⑦上記と同様
手続の流れと必要書類
下記の入管のホームページに申請に手続きの流れと必要な提出書類が記載されています。
https://www.moj.go.jp/isa/publications/materials/newimmiact_3_procedure_index.html
ただし、これらは最低限必要な資料となります。個々の事案に応じて理由書や追加資料を提出することが必要です。