海外に住む外国人が、日本に会社をつくって起業したい場合は、主に次の在留資格(ビザ)の取得が考えられます。本記事ではこれら在留資格について解説します。
①「経営・管理(1年)」:事業活動
②「経営・管理(4か月)」:創業準備
③「経営・管理(6か月)」:外国人創業活動促進事業(国家戦略特区)
④「特定活動(6か月)」:外国人起業活動促進事業(経産省)
①「経営・管理(1年)」:事業活動
当ビザを申請するためには、すでに会社の設立登記が完了していることが必要です。また、会社名義で事務所を確保していることと、申請人が500万円以上の投資または常勤2人以上雇用することが要件となります。
しかし、海外に居住している外国人がこれらの要件をクリアするのは難しく、要件を満たすためには国内に協力者が必要となります。協力者には日本人または永住者などの身分系在留資格を持つ外国人がなることができますが、留学ビザや就労系ビザでは協力者になることはできません。
協力者がいない場合は、次の②~④を検討します。
②「経営・管理(4か月)」:創業準備
協力者がいない場合に創業準備をするためのビザです。会社の登記や出資をまだ終えていなくても申請ができます。事務所についても契約は必要ありませんが、信ぴょう性を高めるために仮契約しておくことをお勧めしています。
当在留期間(4か月)以内に登記と出資を完了し、①の在留資格に更新許可後に事業を開始することができます。
③「経営・管理(6か月)」:外国人創業活動促進事業
会社の所在地が国家戦略特区に該当する場合は、当制度を活用することで創業準備期間が6か月に延長することができます。在留資格申請をする前に、自治体に当事業申請をして事業内容を審査してもらい、許可後にその許可証を添付して入管に在留資格申請する流れとなります。
留学生以外で、すでに国内居住者は対象外です。
自治体への申請手続きは自治体により異なるため確認が必要です。
創業準備完了後は、①の在留資格に更新したのち事業を開始することができます。
④「特定活動(6か月)」:外国人起業活動促進事業
事業内容が、IT分野において高成長を目指す事業、または革新的技術・技能を用いて高成長を目指す事業で、かつ、学歴・職歴要件を満たす必要があります。当制度を活用することで在留期間が6か月となります。さらに、更新により最長1年間起業活動が可能となります。すでに国内居住者も対象者となります。
起業する場合の在留資格の比較
まとめ
日本に協力者がいる場合は、①が事業開始までの期間が最も短くなります。
日本に協力者がいない場合は、②~④となりますが、要件に適合する場合は創業準備期間が長くなる③または④を取得することも有力な選択肢となります。
関連ページ
<この記事の執筆者>
きたむら行政書士事務所
行政書士 北村 重男
出入国在留管理局申請取次資格者